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【愛知】楽しく飲んで気軽に対局 将棋指飲処 ハチワンダイningバー 名古屋市千種区

ジャンル・エリア : グルメ | 愛知 | 文化  2023年12月07日

店内には盤駒が複数用意され、店主の稲垣直人さんとも指せる

店内には盤駒が複数用意され、店主の稲垣直人さんとも指せる

 将棋担当の先輩記者が、名古屋市千種区の将棋バーに通っているらしい。そんなうわさを聞きつけ、会社帰りに立ち寄ってみた。地下鉄東山線に乗り、池下駅で降りる。飲み屋街に向かうサラリーマンに交じり、少し歩くと将棋指飲処(さしのみどころ)「ハチワンダイning(ニング)バー」が入るビルが見えてきた。6階のお店の扉を開けると「いらっしゃいませ」。店主の稲垣直人さん(49)が柔和な顔で迎えてくれた。

 店内はカウンターとソファ、畳の「特別対局場」の計17席。落ち着いた雰囲気で、女性1人でも入りやすい。ひとまずカウンターに座り、カシスウーロンと塩だれキャベツ、どて煮を頼んだ。料理は300円からと、お手ごろなのもありがたい。見回すと、壁には来店した棋士らの名札が道場風に並ぶ。柵木(ませぎ)幹太四段に浦野真彦八段、室田伊緒女流二段…。「あ、藤井聡太八冠の師匠の杉本昌隆八段も来られたんですね」と聞くと、「何度か来てくださいましたよ」と稲垣さん。棋士や女流棋士らが揮毫(きごう)した個性あふれる色紙も壁に飾られ、眺めるだけで楽しい。2020年の開店以来、名古屋の将棋スポットとして認知度も高まってきた。プロだけでなく、棋書の著者や駒師、人気の将棋ユーチューバーらも各地から訪れるそうだ。

 さて、腹ごしらえもしたところで1局指してみよう。来店者同士で盤を挟むこともできるが、今回はアマ初段の稲垣さんに駒数を減らすハンディ戦で相手をしてもらった。端から敵陣に侵入して、終盤へ。「う~ん、どうしたら詰むんですかねえ」とぼやくと、隣に座った男性会社員(32)が一緒に考えてくれた。詰みのパターンをいくつか確認しつつ何とか勝利。ちょっとうれしい。祝杯にもう一杯!

棋士や女流棋士らの個性豊かな色紙が並ぶ

棋士や女流棋士らの個性豊かな色紙が並ぶ

 将棋バーと聞くと、指せないと入るのに気後れするかもしれない。でも、大丈夫。稲垣さんは「指さなくてもウエルカムです。初心者でも幅広く楽しめる環境づくりをしています」と話す。店内の将棋漫画を読んだり、推しの棋士・女流棋士の話に花を咲かせたり、彫り駒に挑戦したり…。過ごし方は自由なのだ。

 この日は八大タイトル戦の一つ「王将戦」の挑戦者が決まる重要な対局がネット中継された。店内モニターで観戦に興じつつ、好きな棋士や戦法、お薦めの勉強法など、初めて会った人とも会話が弾んだ。「お酒を飲みながらワイワイ指すのも楽しいですよね」。隣の男性の言葉に思わずうなずいた。 (世古紘子)

 ▼ガイド 地下鉄東山線「池下駅」1番出口から徒歩3分。パックス池下ビル6階。後6~前0時、火曜定休。チャージ料1500円(学生料金などあり)が必要。棋士・女流棋士を招いたイベントも開く。詳細はSNS(会員制交流サイト、店名で検索)で確認を。(電)080(2639)7318

(中日新聞夕刊 2023年12月7日掲載)