ジャンル・エリア : 水族館 | 生き物 | 静岡 2024年01月24日
清水町の商業施設・サントムーン柿田川に、珍しい水族館がある。伊豆半島の漁港で採集した120~150種類ほどの幼魚ばかりを展示する「幼魚水族館」だ。深海に生きる幼魚を紹介するコーナーでは、水族館を舞台とした、椙下聖海さんによる漫画「マグメル深海水族館」とコラボ。来場者に幼魚の魅力を伝えている。(飯盛結衣)
同館によると「幼魚」の定義は「生まれたてよりは成長し、生殖能力を持つ成魚になる以前」。人間でいう小学生に当たるというが、魚の種類によって成長速度が異なるため、生後何日で幼魚を「卒業」するのかは定めていない。
館内の水槽では魚とともに、人間が捨てたポリ袋やルアーなど海洋ごみも一緒に展示。広報の石垣幸二さん(56)は「漁港の岸壁は多くのごみが流れ着く場所。幼魚はごみや軽石、落ち葉などに擬態したり、隠れたりして、たくましく身を守っている。実際に近い形で展示したかった」と話す。
同館の飼育員は「幼魚保育士」を名乗り、水兵らの制服であるセーラー服をプリントしたTシャツで勤務している。制服は、深海にある架空の水族館を舞台にした「マグメル深海水族館」にも同じデザインで採用された。
1月末までの企画では、今年の干支(えと)の辰(たつ)にちなみ「辰幼(たつよう)神社」と題して、タツノオトシゴやヨウジウオが登場。「水槽の中の神社とともに3匹一緒に写真に収められたら幸運が訪れる」という遊び心ある設定も加えた。地元の子どもが捕まえた珍しい魚・テングノオトシゴの若い個体も、1月中旬から仲間入りした。
3月下旬には関義弘町長を招待し、恒例となる卒業式ならぬ「卒魚(そつぎょ)式」を予定する。大人になったメダイやメジナを無償で他の水族館に譲るための節目の式典だ。
同館はサントムーン柿田川オアシス棟3階の一角(280平方メートル)にある。サントムーンの西島俊則・支配人(57)は、2022年7月の開館以降、石垣さんらと幼魚採集に出かけ始めたといい「幼魚のたくましい生きざまに感動している。館内のテナント関係者を誘って、今後採集会を企画していきたい」と笑顔を見せた。
入館料は大人1400円、中高生1200円、小学生700円、幼児500円、3歳以下は無料。午前10時~午後6時。最終入館午後5時。