チェコ建国にまつわる伝説
2008年5月12日
チェコの生んだ世界的な作曲家スメタナの『わが祖国』のなかで、ヴィシェフラッド城がハープの音色で表されています。この神秘的な城は、多くの芸術家や音楽家たちにとって、インスピレーションの源になってきました。
チェコ建国にまつわる伝説がこの城には語り継がれています。しかし、考古学的な調査によれば、ヴィシェフラッド城はプラハ城よりも少し新しく、10世紀ころに建てられたものだと考えられています。
城自体は15世紀に勃発した宗教戦争(フス戦争)のときに壊滅し、いまはその城を忍ばせるものは残念ながらほとんどなにも残っていません。
今日ヴィシェフラッドの象徴ともなっている二本の尖塔がそびえる建物は、聖ペトル・聖パヴェル大聖堂(=写真)です。この大聖堂は19世紀に建築家ヨゼフ・モッカーが建てたものなのですが、伝説に彩られたヴィシェフラッドに溶け込み、プラハの街並みを見守っているように感じられます。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。