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ワシントン 騒音への静かな怒り

2010年05月18日

 鼓に代表される日本の伝統音楽は、音と音との間の空白を大事にしてきたためか、日本人は静寂へのこだわりが強いようだ。東京のコンサートホールでは、演奏中に物音を立てた人と、それを神経質に怒る人の間に険悪な空気が漂うこともしばしばだ。

 私も、どちらかというと、他人がプログラムをめくる音にもいらだつタイプ。でも、昼夜を問わず、一日中、喧騒(けんそう)に包まれながら暮らすカイロでの特派員時代、高架道路の真下の演奏会場で、車のがたがたという音とともに弦楽器のウードなどのアラブ音楽を楽しむうちに、雑音があまり気にならなくなった。

 それでも、ワシントンへ来て、演奏そっちのけでがやがやと話し声が絶えないのには閉口した。ここは「お互い口に出さなくても分かる」が通用しない多民族国家。子供のころから自己主張の強さを競ってきた人たちだ。他人のやることを黙って聞くなどどだい無理な相談とあきらめている。 (嶋田昭浩)

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