2010年07月27日
「ビズ・エル・メネン」(国民とともに)-。
政変で大統領が追放されたキルギスの首都ビシケク。今月中旬、独裁政権を崩壊させた大規模デモの発生から1週間がすぎても、中心部の多くの商店の壁やシャッターに手書きの文字が残っていた。
「国民とともに」はデモのスローガン。民主化への願いがこもるが、参加者の一部は暴徒化し略奪も起きた。手書き文字は、デモへの共感を示し、略奪を免れようとの商店主たちの知恵だった。
ただ、どうも効果は薄かったようだ。商品を根こそぎ奪われ、放火された電器店の30代の店主は「何の意味も無かった」と焼け焦げたシャッターに白いチョークで書き込んだ文字に目をやった。
政変で人々が本当に求めたのは政治体制の変化よりも、生活の向上だろう。ただ、そのためには目先の利益に惑わされず、国民自身が新しい政府とともに努力することも必要だ。
(酒井和人)