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南寧 南国の街 熱く夢追う

2013年12月06日

 経営は決して楽とは思えない。小ぎれいな広い店内に客はあまりおらず、店員は暇を持て余していた。

 ベトナム国境に近い南寧は、南国風の木々の下をバイクが活発に行き交い、まるで東南アジアのような雰囲気。その街で岩本亘さん(39)は日本風の喫茶店を経営している。

 岩本さんは、栄養士やゲームプロデューサーなどを経て、中国に渡った異色の経歴を持つ。たまたま南寧の開発業者と知り合い、東南アジアへの玄関口として成長を続ける南寧の将来性に魅せられ、「中国にどっぷりはまってしまった」。

 天井の高さが設計と違うなどのトラブルを乗り越え、出店したのは昨年10月。しかし、出店した新しい開発地区の街づくりはずさんで、店の周辺はいまだにほとんどが空き店舗のまま。人の往来は少なく、集客に苦戦している。「南国気質」からか店員が突然辞めたことも。何とかやりくりし、ほかの日本企業の南寧進出を支援したり、コスプレ大会を手伝ったりと、活動の幅を広げている。

 人口700万人を抱える南寧に、日本人は30人ほどしかいないという。「親日的なところもある土地柄。チャイニーズドリームみたいなものがかなえられるのではないか、と思っているんですけどね」。家族を日本に残し、奮闘を続けている。

 (佐藤大)