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北京 失敗しても道はある

2018年09月06日

 全国一斉の大学入学試験「高考」の会場となった高校前で、試験終了を待つ受験生の父母らがしきりに何かのチラシで顔をあおぎ、強い西日の暑さをしのいでいた。チラシを地面に敷いて座っている人もいる。お尻の下からは「まだ間に合う! 米国留学」の文字がのぞく。

 留学仲介業者が高考で失敗した受験生向けに配ったらしい。日本の大学入試会場で予備校がチラシを配るのと似ている。

 貧富の差が激しく、学歴社会の中国では、高考は社会的な上昇を勝ち取る数少ないチャンスとされる。会場周辺では車両の通行が制限されるなど、街全体が「一発勝負」に備えた独特の雰囲気に包まれる。

 だが、北京の人たちは「昔ほどの緊迫感はない」と口をそろえる。留学というセカンドチャンスが残されているからだ。

 大都市の中国人にとって留学への心理的なハードルは低い。取材した大学教授の女性は息子を14歳から米国に留学させている。その名門大学では「ほとんどの同僚が子どもを中学生ぐらいから留学させている」。子どもは寂しがらないかと聞くと「1年で慣れますよ」と笑い飛ばされた。(中沢穣)

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