ジャンル・エリア : 生き物 | 石川 | 自然 2018年06月27日
世界最小クラスのトンボ「ハッチョウトンボ」の生息地で知られる能美市灯台笹(とだしの)町の灯台笹湿地に、散策用の敷石が敷かれ、貴重な姿を間近で観察できるようになった。湿地が踏み荒らされないように市教委が敷いたもので、誰でも無料で自由に利用できる。湿地に詳しい市博物館職員の山内千之(ちゆき)さん(62)は「秋までさまざまなトンボが観察できる。敷石の上から存分に楽しんで」とPRしている。
灯台笹湿地の広さは約700平方メートル。5月から10月にかけて、太い腹部が特徴の「ハラビロトンボ」や、黄色い体の「キイトトンボ」など約30種のトンボが観察できる。1円玉の大きさしかないハッチョウトンボの一大生息地で、5月下旬から8月にかけて見られる。
湿地では、約20年前にハッチョウトンボの生息が確認されて以降、散策者が多く訪れるようになった。ただ遊歩道などは整備されておらず、トンボの幼虫が育つ湿地が踏まれていた。
湿地を守ろうと、市教委は5月に縦80センチ、横30センチほどの敷石約40枚を、湿地の入り口から30メートルほどにわたって設置した。敷石は道路拡幅工事に伴って撤去された市寺井図書館の池の石を再利用した。湿地やハッチョウトンボについて解説した看板も立てた。
山内さんは「トンボの写真を間近で撮りたい気持ちは分かるが、敷石の外には足を踏み入れないで」と呼び掛けている。 (吉野淳一)