【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 花紀行
  4. 名古屋市「鶴舞公園」のサクラ

コラム 花紀行

名古屋市「鶴舞公園」のサクラ

名古屋市「鶴舞公園」のサクラ

3月に入って急に暖かくなり、
名古屋では最高気温が20℃を超える日も増えてきました。

この時期、気になる花の話題といえばサクラの開花日。

気象庁の公表によると、
今年の名古屋のサクラの開花日は3月17日で、
過去10年で最も早かった一昨年と並ぶ早さでした。

コロナ禍による諸々の規制が解除されてから
初めてのお花見シーズンはどんな感じだろうと、
名古屋市内でも屈指の花見の名所として知られる
鶴舞公園(名古屋市昭和区)に出かけてきました。

↑鶴舞公園の園内案内図。

総面積がおよそ2400万平方メートルある鶴舞公園は、
1909(明治42)年に名古屋市が設置した公園第1号で、
歳月を重ねた木々も多く、落ち着いた雰囲気が魅力です。

鶴舞公園では、
サクラ、ツツジ、バラなどが順次咲いていく
3月24日から6月4日を「花まつり」期間として、
様々なイベントを企画しているそうです。
(3月24日から4月9日までは、
夜桜見物のために「さくらライトアップ」を予定)

では早速、サクラを見ていきましょう。

↑道路を挟んで鶴舞公園の東側にある
八幡山(はちまんやま)古墳周辺のサクラたち。

直径約80メートルの同古墳は県内最大の円墳で、
そのぐるりは(空)堀になっており、
さらにその周りにサクラが植えられています。
堀に降り注ぐような枝振りに趣を感じますね。

↑八幡山古墳から近い鶴舞公園への入り口。
たくさんの花を付けたサクラの大木がお出迎え。

↑菖蒲池の周りのサクラ。

鶴舞公園内には、
ソメイヨシノを中心として、
ジンダイアケボノやエドヒガンなど、
約10種類、およそ750本のサクラが植えられているそうで、
園内各所で「絵になる」スポットの演出に役立っています。

↑高明山のサクラ。
愛知県出身の第24代内閣総理大臣・加藤高明の銅像が
あった場所(銅像は戦時中に供出され、台座のみ現存)です。
確かにそこにあった先人の像を思い、
サクラたちが寄り添っているように見えるのは私だけでしょうか。

↑胡蝶ケ池ほとりのシダレザクラ。
風にたゆたうヤナギとともに、
優美な雰囲気を醸し出していました。

↑色合いの違うサクラが並んで咲いていたエリア。
グラデーションのように見えて、
とってもきれいでした。

↑ソメイヨシノがまとめて植えられている「桜林」。

鶴舞公園内のサクラは古木が多く傷みやすいため、
人出が少なかったコロナ禍をきっかけに、
桜林内のサクラの木の根もとを立ち入り禁止としたそうです。

感染症対策やサクラの保護を念頭に
お花見の心得を詠んだ「お花見川柳」を掲示して、
マナーの向上も促しています。

サクラの木の下に陣取ってワイワイ騒ぐという従来のスタイルではなく、
人の往来の邪魔にならないよう、
ベンチや縁石に腰掛けて、
笑顔でサクラを見上げながら語り合う人々の姿が
そこにはありました。

好みが分かれるところではあるでしょうが、
自分はこういうスマートなお花見の方がいいなあ
と思いました。

↑ほぼ満開のシダレザクラ。
ピンク色が濃いから、ベニシダレザクラかもしれません。

↑隣り合って咲いていたシダレザクラの花たち。
八重咲き(左)と、一重咲き(右)。
八重咲きの方が咲くのが遅いようで、
まだつぼみが多い印象です。

↑ソメイヨシノの花たち。
白に近い淡いピンク色の花びらが、
潔いのと同時に、はかない印象です。

↑ジンダイアケボノの花たち。
少し大ぶりで、薄ピンク色の花びらがかわいらしい。

↑ほころび始めたギョイコウの花。
葉っぱと見間違えるような黄緑色の花が咲く珍しいサクラです。
園内では、緑化センター前の「香りの園」内に
2本だけ植えられているそうです。

例年は4月上旬~中旬に咲き始めるそうですが、
今年はこちらの開花も早まりそうとのことでした。

園内には、
ほかにもたくさんの春の花たちが
競うように咲き誇っていました。

↑ツバキ2種(品種は不明)。

左の赤いツバキの方は、
樹高が5メートルもありそうな大木なのに、
花付きが良く、思わず目を奪われました。

胡蝶ケ池の東岸に植えられてい白いツバキの方は、
同じく花付きの良いどっしりとした木で、
一つひとつの花の大きさに圧倒されました。

↑左から、シデコブシ(ピンク、白)、シモクレン。
シデコブシの花期は終わりかけのようで、葉がたくさん出始めていました。
シモクレンはまだ咲き始めのようで、花にハリやツヤがあります。

↑左から、リキュウバイ、カリン。
いずれもバラ科の落葉小高木です。
花の色や大きさは少し違うけれど、
なんだか雰囲気が似ていますね。

↑色違いのボケの花。

↑左から順に
ヒュウガミズキ、サンシュユ、ユキヤナギ。

↑クリスマスローズ4種。
緑化センター北西のロックガーデンに、
地植えのシクラメンと一緒に咲いていました。

↑左から時計回りに
ツルニチニチソウ、フイリアオキ、タンポポ、シャガ。

タンポポは比較的たくさん見られる花ですが、
所長のお話によると、
歴史のある公園だからなのか、園内にはニホンタンポポが多く、
ガクの先端に突起のあるトウカイタンポポも見られるそうです。
ちょっと探してみたくなりますね。

↑公園の中央付近にある踊り子の銅像(ベアトリーチェ)と花壇。
通常、
この花壇には季節の花が植えられているのですが、
もうチューリップが満開でした(手前の白い花は、ノースポール)。

↑高明山の北側にあるソテツ。
案内板を見ると、
公園開設時、鬼門の位置(東北角)に
魔除けの木として植えられたようです。
推定樹齢150~200年とのこと。
もとは一株だったというから、
ここまで大きくなるものなのかと、驚きました。

見どころがたくさんあって、
とても居心地の良い鶴舞公園。
何度も通いたくなる公園です。

感染症には十分気をつけて、
四季のある日本ならではの旬の花を楽しみましょう。

取材日:2023年3月24日

DATA

鶴舞公園

名古屋市昭和区鶴舞1-1-168
TEL:052-733-8340(名古屋市緑化センター=鶴舞公園事務所内)
※入園自由。
※公園事務所は午前9時~午後4時半開館。毎週月曜と第3水曜、12月29日~1月3日定休。

交通アクセス

○公共交通機関
JR中央線または地下鉄鶴舞線「鶴舞駅」下車4番出口すぐ。
○車
名古屋高速・吹上西・東ICから南西へ約1キロ。
※周辺に有料駐車場有り。

取材担当プロフィール

まころーど
名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。