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コラム 花紀行

岐阜県海津市「アクアワールド水郷パークセンター」のオニバス

岐阜県海津市「アクアワールド水郷パークセンター」のオニバス

8月下旬になっても、
連日猛暑が続いています。

長引く厳しい暑さの中、
水辺で力強く咲く花を見たいと思い、
1997(平成9)年からオニバスを育成している
岐阜県海津市の「アクアワールド水郷パークセンター」へ行ってきました。

同園は、
愛知・岐阜・三重の各県にまたがる
「国営木曽三川公園」の13の拠点の一つで、
中央水郷地区に位置しています。

↑「アクアワールド水郷パークセンター」案内図。
西側には5万2千平方メートルもある「義呂池」がたたずみ、
園内には水路が巡らされているため、
いかにも「水郷」といった風情です。

↑園内へは、この橋を渡っていきます。

↑風車前にあるオニバスの池。
オニバスは一年生水生植物なので、
毎年生育状況が異なるそうですが、
今年は結構たくさん葉が広がっています。

↑オニバスの説明看板。
生態や、この地方におけるオニバスの変遷など、
とてもわかりやすく説明してあります。

↑葉っぱの間から、
ぴょこぴょこと花が顔を出しています。

スタッフの方のお話によると、
ここのオニバスは例年7月下旬に咲き始め、
8月下旬から見頃を迎え、9月下旬まで楽しめるということでした。

今年は8月半ばに台風の影響で1度水没してしまったそうですが、
水位が下がり、再び開花が進んでいるところだそうで、
取材日には16輪の花が咲いているのを観測したとのこと。

葉っぱを見るのも面白くて、
ぎゅっと縮まっている若い葉や、
しわが伸びて大きく成長した葉がところ狭しと折り重なっています。
直径が1メートルを超えるまでに成長しているものも増えてきて、
生育状況としては順調のようです。

↑近付いてみたところ。
よく見ると、
ガクや葉の表面にも刺が生えているのがわかります。

花を中心にして葉っぱが放射状にひろがっているそうで、
一番右の花のすぐ左にある白っぽくてトゲトゲした物体は
2つとも「実」なのだそうです。

↑葉っぱを突き破って、にょっきにょっきと伸びる花。
勢いがありますね。

↑自分の葉っぱを突き破る花なんて、
力強いというか、天然が入っているというか。
受け止める人によって、違う解釈がありそうです。

↑花には、地上に顔を出して開花する「開放花」と、
水中で自家受粉する「閉鎖花」の2種類があるそうで、
写真中央辺りに沈んで咲いているのが閉鎖花のようです。
本当に人知れず水中で咲いているんだなあ
と不思議な気分になりました。

オニバスは午後になると花が閉じてしまうので、
午前中の訪問がオススメです。
※取材は、当日の午前中に思い立って急きょ訪れたので、
同園に到着したのが昼ごろとなってしまい、
写真では閉じかけている花が多いですが、
午前の早い時間なら、
もっと大きく咲いている花が見られるそうです。

↑オニバスの池のほとりに咲いていたミソハギ。
水辺に映える、涼しげなたたずまいですね。

↑当地区の文化と風景を伝えるため、園内に再現された堀田。
夏の青空と、遠くに見える養老山脈と相まって、
古き良き日本の農村を思わせる景色です。
(右端に見切れている建造物は、
今夏オープンした屋外休憩施設「アクアデッキ」です)

↑堀田のあぜ道に咲いていた、少し気の早いヒガンバナたち。
白、赤、ピンクのカラーバリエーションがありました。
9月になると、
たくさんのヒガンバナが咲きそろうそうです。

↑写真に収めることができたトンボたち。
細かい種類ははっきりと分かりませんが、
左から、
イトトンボ、チョウトンボ、シオカラトンボ(の交尾)と思われます。

↑左から、クツワムシ、アオスジアゲハ(推定)。
クツワムシは、
たまたま飛んでいるのが目に入り、
葉っぱにとまったところをパチリ。
アオスジアゲハは、
濡れた路面(コンクリート)の水分を吸っているようでした。

↑園内散策路。
沿道には季節の花が咲き、
「交流サロン」や「環境学習センター」、
展示や体験教室が行われる「パークパートナー棟」など、
戸建ての建物が点在していて、落ち着いた雰囲気です。

↑「環境学習センター」内のオニバスに関する展示。
写真をふんだんに使い、オニバスが成長していく様子を
とてもわかりやすく説明してありました。

↑沿道で見かけた
チョウマメ(バタフライピー)とフウセンカズラの寄せ植え。
とても涼しげな組み合わせで、目で涼感を味わいました。

↑奔放に咲き乱れるキバナコスモス。
レモンイエローが爽やかです。

↑園内で見かけた、たおやかな印象の花たち。
左から、
ムクゲ、ガウラ(ハクチョウソウ)、サルスベリ(いずれも推定)。

↑義呂池の真ん中辺りで杭のようなものにとまって、
羽を広げるカワウ(推定)。
2~3時間ずっと同じ場所にいて、
羽を広げたり閉じたりしていました。

日よけになるものもないので、
「暑くないのかな」とも思いましたが、
当日は結構風が強かったので、
案外、居心地が良かったのかもしれません。

残暑が厳しい中、
水辺を吹き渡る風に癒やされ、
少しずつ顔ぶれが変わっていく花や生きものたちに
季節の移ろいを感じた一日でした。

感染症には十分気をつけて(油断は禁物です)、
四季のある日本ならではの旬の花を楽しみましょう。

取材日:2023年8月22日

DATA

アクアワールド水郷パークセンター

岐阜県海津市海津町福江566
TEL:0584-53-7200
開園:午前9時~午後5時(7月・8月は午後6時まで/12月~2月は午後4時半まで)
定休日:毎月第2月曜(8月は第4月曜/休日の場合は直後の平日)、12月31日、1月1日

交通アクセス

○公共交通機関
養老鉄道・石津駅または駒野駅から海津市コミュニティバスに乗って「海津温泉」下車、徒歩1分。
○車
東名阪自動車道・長島ICから北へ約10km。無料駐車場有り。

取材担当プロフィール

まころーど
名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。