【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 花紀行
  4. 愛知県新城市「桜淵公園」のヤマユリ

コラム 花紀行

愛知県新城市「桜淵公園」のヤマユリ

愛知県新城市「桜淵公園」のヤマユリ

最高気温が30℃を超える日が続き、
7月半ばというのに既に夏バテ気味です。

そこで、
厳しい暑さの中でも、
大輪の涼しげな花を咲かせるヤマユリを見て元気をもらおうと、
愛知県新城市にある「桜淵(さくらぶち)公園」へ行ってきました。

愛知県の東端、東三河のほぼ中央に位置する新城市は、
市域の84%が三河山間部を形成する豊かな緑に覆われており、
県立自然公園にも指定されている桜淵公園は、
比較的標高の低い南西部に位置しています。

「桜淵」という名称は、
「笠岩」や「蜂の巣岩」といった奇岩があり、
周辺の緑と相まって景観が美しい豊川沿い一帯に、
江戸時代初期の新城城主が桜を植えさせたことが由来だそうです。

春は桜、夏は緑、秋は紅葉が素晴らしい景勝地として、
「三河の嵐山」とも呼ばれているそうです。

↑「桜淵公園」案内図。
園内に一級河川「豊川」が流れ、道路が通っています。

ヤマユリは、
公園南部にある「青年の家」の体育室脇の斜面と、
豊川北側の斜面で見られるそうなので、
まずは青年の家へ。

↑右側の建物は「青年の家」の体育室。
左手奥の木立の下が、目指す斜面です。

↑「青年の家」駐車場のすぐ脇で咲いていたヤマユリ。
白、黄、赤が鮮やかですね。

ヤマユリは、
東日本の産地や丘陵地に生える多年草で、
西日本に自生するササユリと並んで、
日本を代表するユリです。

新城市を中心とした奥三河一帯は、
ヤマユリ(開花期は7月ごろ)と
ササユリ(開花期は6月ごろ)が
両方見られる貴重なエリアなのだそうです。
(ヤマユリには各地で地域名があり、当地では「鳳来寺ユリ」という呼び名があるようです)

↑体育室の前できれいに咲いていたムクゲ。

↑「青年の家」体育室脇の斜面。
ちらほらと白いヤマユリの花が見えます。

↑近付いてみたところ。
ギボウシやススキも入れ乱れています。

↑花壇に整然と植えられた花と違って、
ランダムに咲き乱れる大輪のヤマユリの花。
堂々としたたたずまいで、存在感がありますね。

↑ヤマユリの花のアップ。
黄色の筋が入った真っ白な花びらに、
飛び散らせたような朱色のそばかすが艶やかで、
色気さえ感じさせます。

↑咲きかけのヤマユリ。

周辺では、
ほかにもいろいろな山野草が咲いていました。

↑写真左:タムラソウ、
写真右:アキノタムラソウ(いずれも推定)。

↑写真左:ウマノアシガタ、
写真中:ギボウシ、
写真右:アカバナユウゲショウ(いずれも推定)。

ほかにも、
コマツナギ、キヌタソウ、ヤマブキショウマなど(いずれも推定)、
地味だけど可愛らしい山野草をたくさん見かけました。

青年の家周辺の花たちを堪能したので、
もう一つのヤマユリスポットである豊川北側の斜面へ向かいます。

↑豊川に架かる笠岩橋を渡ります。

↑橋を渡り切ったところ。
斜面の上の方に白い花が見えます。
多分、ヤマユリでしょう。

↑橋のたもとから少しのぼったところ。

↑斜面の上から、
満開のヤマユリがこちらを見下ろしていました。

↑鈴なりのヤマユリを真横からパチリ。
ぶら下がるように花がたくさん付いていて、
シャンデリアみたい。

↑咲き始めから終わりかけの花が同居している株。

観光協会の方のお話によると、
今年は例年より咲き始めが少し早かったようです。
地元のお店で聞いたお話では「もう見ごろは終わりかな」とのことでした。
確かに散ってしまっていた花もありましたが、
まだまだつぼみもありましたし、全体的には充分きれいでした。

↑上から見た笠岩橋。
全長117メートルの吊り橋で、竣工は1972年。
緑の中に、橋材の赤色と白色が鮮やかです。

↑岸から笠岩橋を見上げたところ。
橋のたもとから岸へ下りる散策路も整備されていて、
様々な角度から景観を楽しめます。

豊川上流から運ばれてくる岩石は多様で、
桜淵の川原には20種類以上の岩石が観察できるそうです。

↑豊川の北岸でもいろいろな花が見られましたが、
中でもよく目立っていたノカンゾウ(写真左)とアジサイ(写真右)。
※いずれも推定。

ほかにも、
ヒメオウギズイセンやアキカラマツ、オシロイバナなど、
バラエティ豊かな花たちを見ることができました。

草むらでは歩くたびにバッタがたくさん飛び跳ねるなど、
夏ならではのムシたちの元気な様子にも、
豊かな自然を感じさせてもらいました。

↑セミの抜け殻(写真左)とツバメシジミ(写真右)。

↑左写真:アオハダトンボのオス、
中写真:アオハダトンボのメス、
右写真:シオカラトンボのメス(いずれも推定)。

暑い中、
元気に咲く花たちだけでなく、
豊かな緑や生物、雄大な川の流れにも癒やされた一日でした。

感染症には十分気をつけて、
四季のある日本ならではの旬の花を楽しみましょう。

取材日:2023年7月15日

DATA

桜淵公園

愛知県新城市庭野字八名井田
TEL:0536-29-0829(新城市観光協会)
※入園自由。

交通アクセス

○公共交通機関
JR飯田線「東新町駅」から南東へ徒歩約15分(約1.2キロ)。(同「新城駅」からは南東へ徒歩約23分=約1.8キロ)
○車
新東名高速・新城ICから南西へ約4.6キロ。
※園内に無料駐車場が点在。(桜まつり期間中は有料になります)

取材担当プロフィール

まころーど
名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。