2010年06月02日
カイロの下町では、各家庭のテレビをケーブルでつなぎ、一軒分の契約料で有料の衛星放送をご近所皆で楽しんでいる。
違法だが、まもなく始まるサッカーのワールドカップ(W杯)の期間中は「警察も摘発しない」との観測が庶民に広まっている。放映権を持つテレビ局が、エジプト政府との犬猿の仲で知られるカタールの衛星放送アルジャジーラだからだ。
中東で影響力を競う両政府の不仲が背景にあるとされ、「虚偽の報道」を問われて記者が逮捕されたことも。反政府デモがあるとアルジャジーラは張り切って報じているように見える。
本当に警察が目こぼしするかは知らないが、カイロのイスラム法学者も「この方式のテレビ受信をイスラムは禁じていない。(放映権)独占こそ悪だ」との見解を出している。正規の視聴者を増やしたいアルジャジーラにとって、この街は完全なアウェー(敵地)だ。 (内田康)