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米ニュージャージー州 地元ニュース衰退 痛感

2019年08月26日

 ローカルニュースが減っているとされる米国で地元ニュース発信を支援する州政府の補助金の取材のため、東部ニュージャージー州を訪れた。約束した州議会議員や大学教授らを取材した後、少し時間があったので、街の人たちの声を聞いてみようと、地元の食堂に立ち寄った。

 カウンター席に座って店員に取材の趣旨を伝えていると、窓際のソファ席でやりとりを聞いていた恰幅(かっぷく)のいい白人男性がこちらに歩み寄ってきた。聞くと、地元ポールズボロ町のスティーブンソン町長(59)だと言う。町長はまるで店員のようにカウンターの内側に立ち、「先日、2期目の選挙に出馬すると表明したんだが、地元紙は全く書いてくれないんだ」と機関銃のようにしゃべり始めた。

 地元紙の記者の大幅なリストラのため、政策を発信する苦労はもとより、地元ニュースの衰退が、米政治の分断を招いたとする持論まで、約30分間、雄弁に語り続けた。町長との偶然の出会いはローカルニュース取材の基本でもある「足で稼ぐ」取材で幸運にも実現した。地元ニュースの衰退はこうした取材の衰退でもあるのだろうと痛感した。 (白石亘)

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