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ワシントン 現役判事描いた絵本

2019年12月25日

 ワシントンは住民が本を買うのに使う金額が米国の都市でトップレベルという。首都で知識層が多いためだろうが、確かに魅力的な書店は多い。私も週末はよく書店巡りをする。

 アマゾンが運営する実物の書店アマゾンブックスで、たまたま絵本コーナーを眺めていたら、高齢の女性の顔が描かれた本があった。どこかで見た顔と思ったら、米国の最高裁判所で最高齢となる86歳のギンズバーグ判事だ。日本で現役の裁判官を取り上げた絵本はないだろうなと思いつつ、中身を読むと、肩書よりもその生きざまが尊敬されているのが分かる。

 タイトルは「異議あり」。男性社会だった法曹界の常識に立ち向かい、仕事と家庭を両立させながら、マイノリティーらの声を代弁し、女性が活躍するのが当たり前の時代を切り開いたという。絵本には「92%の評価者が最高点の五つ星をつけた」というポップが張られていた。

 ギンズバーグ判事のように、わが子にも力強く生きてほしいという親の願いが人気の理由なのだろう。こうした本との出合いは書店の魅力だが、買ったのに読まない「積ん読」が増えていくのは悩ましい。(白石亘)