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ニューヨーク 距離感に悩んじゃう

2020年07月06日

 たとえばレジ待ちの列。うっかり前に詰めると「社会的距離を保って」と注意され、気まずい思いをすることになる。新型コロナウイルスの感染が急激に広がり、不要不急の外出が禁じられたニューヨークでも、すっかり日常の風景になりつつある。他人に社会的距離を求めながらマスクもせずにせき込み、失笑を買っている人も見かける。

 米疾病対策センター(CDC)によると、他人と6フィート(1.8メートル)の間隔を保つのが社会的距離の定義。感染拡大を防ぐために必要と理解しつつ、行政主導の過剰な規制には違和感も覚える。身近なところでは、自宅前のテニス場やサッカー場が閉鎖された。外で体を動かそうと思えば散歩やランニングにいそしむしかなく、地元の子どもたちは貴重な遊び場を失った。社会的距離に固執するだけでなく、その弊害にも目を向けたい。

 ニューヨークでは公立学校が全面閉鎖され、わが家の息子たちもインターネットを介して宿題を提出したり、先生や友だちと対話したりしている。父親としては息子たちとの交流を深める絶好の機会ともいえるのだが、この距離は縮めるのが思いのほか難しくて…。 (赤川肇)