2020年10月06日
タイ西部メソトに、対岸のミャンマー東部とを結ぶ橋がある。その名は「友好橋」。橋のたもとの国境ゲートから数キロにわたり、ミャンマーへの輸出物品を積んだ大型トラックが列をなすのが日常風景だった。
今月中旬に訪れると、トラックの姿がなかった。新型コロナウイルス防止の水際対策で、友好橋は閉鎖されている。川沿いに軒を連ねた露店は閉じ、地元住民用の20バーツ(約70円)の渡し船も運航していない。
メソトでは昨年、橋の渋滞対策で「第二友好橋」が開通したばかり。こちらは一応使用されていたが、通行はかなり制限されている様子だった。
橋の入り口近くのテント下に、20人以上が座っていた。「タイで出稼ぎしていたが、故郷に帰る」というミャンマー人たち。建設作業などの仕事が激減したのだろう。自国民の帰国を認めているミャンマーに向け、入管の手続きをじっと待つ。
インドシナ半島を横断する「東西経済回廊」の要衝に位置付けられるメソト。活気を失った姿は、新型コロナが東南アジア経済に与える影響の大きさを物語っていた。 (北川成史)