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ソウル 刻まれたW杯の記憶

2022年03月02日

 私が住んでいるアパート周辺の住所は、ソウル市麻浦(マポ)区ワールドカップ北路(プクロ)という。2002年の日韓共催サッカーW杯の舞台となった競技場が近くにある。W杯に合わせて一帯の再開発が進み、「ワールドカップ」と冠した地名が付いている。

 史上初の4強進出を成し遂げた02年W杯は、韓国にとって「神話」として刻まれている。赤いTシャツを着たサポーターが各地で街頭を埋め尽くし、試合中継に熱狂した。私は当時、1年間の交換留学でソウルにいた。よそ者ながら、歴史的な場面に立ち会っているという高揚感を共有した。

 同じ年に駐韓米軍の装甲車が公道で女子中学生をひき殺す事件が発生すると、人々はやはり街頭に出て抗議の声を上げた。あの一体感や熱気は、W杯の街頭応援の延長線上にあったように思う。

 あれから20年。競技場の周辺は高層住宅が立ち並ぶ団地に変貌した。国内では不動産が高騰して世代間格差が広がり、社会の一体感より分断が目につくようになっている。今年は大統領選もある節目の年。この国がどう変わっていくのか見定めたい。 (木下大資)

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