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ニューヨーク 授業でがんばると…

2022年04月06日

 地元の中学校に通う長女(12)から「今日、クラスメートが先生から10ドルもらった」と聞いた。社会科の授業中、積極的に発言したからだという。普段はギフトカードの場合が多いが、その日は「あ、今カードがないから現金でね」と、生徒たちの前でドル札を渡したとか。

 授業で褒美に現金。日本の学校では考えられない感覚だ。この社会科教師が一風変わっているだけなのか。小学校に通う長男(10)にも聞いてみると、こちらも「体育の先生がそうだよ」とあっさり。先日は運動中に音楽を流し、「曲名を当てたら2ドル」と呼び掛け、クラスは大いに盛り上がったという。

 「いかにもニューヨークっぽい話だね。僕の地元では聞いたことがない」。西部出身の友人はそう話し、笑って続けた。「さすがは資本主義の都」

 新型コロナウイルス禍が続くとはいえ、今日も人々は忙しそうに行き交い、ウォール街では巨額のマネーが動く。教育の世界もそんな雰囲気と無縁ではないというわけか。朝、家を出る子どもたち。「授業、がんばって」と単純に声をかけてよいのか、ちょっと迷ってしまう。

 (杉藤貴浩)