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ロンドン 澄んだ青空の下では

2022年05月16日

 曇り空が続く冬のロンドンで先日、鮮やかな青空が広がった。出勤途中、歩道の大きな丸い黄色の街灯を見上げ、青空と重ねて写真を撮った。ウクライナの国旗を思いながら。

 あの二色は青空と小麦畑、または青空とひまわり畑を指すと聞いた。しかし、豊かな大地は戦車に踏みにじられ、青空は爆弾が降る恐怖の空に変わった。

 在英ウクライナ人団体が開いた記者会見に出席し、ロシアの侵攻と闘うために故郷に戻って行く若者たちがいると聞いた。会見で東方カトリック教会の司祭は、出立前に「神の加護がほしい」と教会に来た若者を数十人は見送ったと話した。

 ウクライナ人女性団体の代表は「ウクライナの空を守ってほしい。もっと武器がほしい」と訴えた。「戦争は早く終わらせたい。でも、もし『和平』がロシアの『非武装化』の要求に屈し、武器を捨てることを指すなら、それは和平ではない。『隷属』だ」と言い切った。

 孤立無援で徹底抗戦を続ける誇り高きウクライナの人々を、どうすれば助けることができるのか。澄んだ青空を見るたび、もどかしさが込み上げる。 (加藤美喜)