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バンコク 夜マラソン 熱気再び

2022年06月01日

 午前0時すぎ。バンコクの競技場。気温27度は日中に比べ涼しくも感じたが、待ちわびた人たちの熱気があふれていた。2年ぶりに参加したハーフマラソンは、この間の閉塞(へいそく)感を皆が解き放っているようにみえた。前回は新型コロナウイルスの流行直前。参加者はマスク姿だったが、警戒していたのは大気汚染物質のPM2.5。それでも「国際的なマラソン都市を目指し、海外参加者を呼び込もう」と盛り上がりをみせていた。

 その後、マラソン立国どころではなくなったが、何度かの延期を経て再スタート。登録には抗体検査が義務付けられ、ゼッケンには陰性を示す検査キットがくくりつけられた。外国人を含む参加人数はまだ少なかったが、スタート直後の沿道には、深夜までにぎやかな音楽が響くローカル食堂など、タイらしい風景も戻っていた。

 這々(ほうほう)の体でゴール後、スマホで自撮りしていると「撮ってあげる」とタイ人の男性。日本人とわかると「日本の大会にも出場したことがあるが最高だった。タイもこれから」。互いに一瞬ためらった握手を交わしエールを交換した。 (岩崎健太朗)