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ワシントン 賃料6割アップの怪

2022年08月12日

 米国では毎年、物価の変動に合わせて賃貸物件の賃料が変わる。今年3月が入居から1年で更新する時期だったので、インフレでいくらになるのかと戦々恐々としていた。が、待てど暮らせどマンション側から連絡がない。

 そこで入居者向けホームページで賃料の請求予定額を見てみたら、4月の賃料は3月より60%以上もアップしていた。インフレとはいえ、物価は約8%の上昇率。何かの間違いだと、管理事務所に駆け込んだ。

 責任者のダンいわく、このマンションでは賃貸契約は自動更新されず、年間契約が切れたら再契約しなければならない。それを忘れて年間契約が切れると自動的に月間契約に変わり、急激に賃料がアップする。「年間契約を促すため、わざとそういうふうにしているんだよ」。つまり、間違いではなかった。

 その場で契約を延長し、賃料4%アップという穏当な値上げ幅に落ち着いた。が、放置していたら60%アップの賃料を徴収されていたと聞き、背筋が凍った。「俺も君の立場だったら、びびっただろうな」とダン。分かっているなら、こんな手法はやめてくれ。 (吉田通夫)