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チュニス マスク集団に違和感

2022年12月19日

 アフリカ北部チュニジアの首都チュニスで8月、日本主催の「アフリカ開発会議(TICAD)」があった。新型コロナウイルスの感染拡大から2年半以上が経過。日本とアフリカ各国から多くの関係者が集まる中、ひそかに注目を集めていたのが日本の「マスク集団」だ。

 メディアセンターで作業をしていると、他国の記者から「なぜ日本人はあんなにマスクをしているんだ。すぐ日本人だと分かる」と笑われた。日本の代表団はスーツ姿にマスクが特徴で、どうやらそれが珍しいらしい。ある日本企業の男性も、代表団20人ほどで歩いていた際に突然写真を撮られたという。

 アフリカや中東各国では「コロナは終わった」という意識が強い。感染しても重症化率が以前より低く、数日休んで復帰する人が大半。日本人の姿には強い違和感を覚えるのだろう。

 会議では首脳級の参加が半減し、日本の求心力の低下が指摘されていた。地元通信社の記者に減少理由を問われ、「コロナ規制では?」と答えると、「カイロに住んでいるなら分かるだろう。本当にそう思うか?」とひと言。何も言い返せず、笑うしかなかった。 (蜘手美鶴)