2023年01月17日

　「遊園地へ行きたい」とせがむ子どもたちの願いをかなえるため、休日にパリ市西端のアクリマタシオン庭園を訪れた。５年前、社内留学制度でパリに滞在した当時に訪れた時には場末感が漂っていたが、今回は遊具が一新されておしゃれなカフェも増えていたので驚いた。

　乗り物に歓声を上げる子どもたちを見守りながらスマホで調べてみると、前回の滞在から帰国直後、庭園の親会社が大規模な改修事業を行ったという。その親会社とは、ルイ・ヴィトンなどの高級ブランドを束ねるＬＶＭＨグループ。近くには船のような形状が美しいルイ・ヴィトン財団美術館がそびえ立つが、この庭園も所有していたとは初耳。どうりで大胆な投資ができるわけだ、と腹に落ちた。

　仏国内におけるＬＶＭＨグループの存在感はすさまじい。会長のアルノー氏は長者番付で例年１位につける億万長者。近年は有力紙も次々と手中に収め、メディア界にも影響力を強めている。おまけに寂れた遊園地も洗練された空間に早変わり。経済界を牛耳る巨大企業がファッションブランドだという点に、フランスの懐の深さを感じずにはいられない。　（谷悠己）