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米ミネアポリス 人種差別と向き合う

2023年01月20日

 取材で米中西部ミネソタ州ミネアポリスを訪れた。2020年に黒人のジョージ・フロイドさんが白人の警察官に取り押さえられ、死亡した事件が起きた街だ。

 フロイドさんが取り押さえられた商店の前の通りは、ブロックで囲われてモニュメントになり、旅行者らも含めてさまざまな人が訪れる。

 近くには、フロイドさんをはじめとして、人種差別的な扱いを受けて命を落とした人々の名前を一人ずつ刻んだ石碑が地面に差し込まれた墓地のような場所もある。「ここはフロイド氏らの魂を鎮める場だ」。旅行者を連れた黒人男性は、ボランティアで近所のガイドをしているという。

 フロイドさんの死亡を機に、米国では人種差別への抗議行動「ブラック・ライブス・マター(黒人の命も重要)」運動が高まった。近年はアジア人を狙った暴力も増え、問題になっている。

 至るところに描かれたフロイドさんの肖像画や、人種差別への抗議の意思を示す拳の絵、そして数々の慰霊碑が、私たちアジア人にも何かを訴えているようだった。 (吉田通夫)