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米ベセスダ 米国人の合理的気質

2023年04月25日

 米国を歴史的な寒波が襲った昨年末、自宅のあるワシントン近郊のベセスダでも氷点下14度を記録する寒さとなった。雪は降らなかったが、これまで氷点下10度を下回る土地に住んだことがなかったので、外に出てあちこち観察してみた。

 顔に当たる冷たい空気は刺すように痛く、落ち葉は接着剤でとめたように地面にはりついている。車のドアを開けようとしたら、バキバキと音がするばかりでなかなか開かない。庭先で1人、水でぬらしたタオルをぶんぶん振り回す実験をしたら、あっという間に凍った。

 怖いのは車の運転だ。日本の自動車メーカーの米国事務所で働く知人によると、米国ではよほどの寒冷地でなければ冬用タイヤは履かない。雪が降れば細い道まで除雪してくれるからだというが、凍結は心配になる。

 寒さが和らいだ後に車で仕事に向かうと、あちこちで作業車や黄色いテープが道をふさいでいた。凍って危ない道を通行止めにしているらしい。いちいち冬用タイヤに替えなくても、通れる道だけ使えばいいということか。回り道をしながら、ここにも米国人の合理的な気質を見た気がした。 (浅井俊典)