【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. ヨーロッパ
  5. パリ 残した給食の行方は

パリ 残した給食の行方は

2023年04月09日

 長女が通うパリ市内の公立小学校で先日、新型コロナウイルス禍明けで再開された保護者向けの給食見学会に参加した。

 献立はパスタサラダと豆の煮込みを添えた骨付き鶏もも肉のソテーに、パンとチーズと果物が付く。どれも見るからにおいしそうだったが、子どもたちの食卓を眺めていて異変に気付いた。料理を残すことは当たり前で、ほとんど手を付けていない児童も相当数いたのだ。

 児童らに理由を聞くと「味が好みではないから」や「今食べなくても家でおやつをたくさん食べるから大丈夫」との返答。給食室にいた職員らに驚きを伝えると「どの料理も一口は味見させるようにはしているが、食べきることを強制はできないから仕方ない」と口をそろえた。

 移民系住民が多いフランスでは宗教的な理由で肉料理を食べない児童も多く、過去には無理やり食べさせた校長がメディアを通じて社会的に批判されたこともあったという。一方で、国内の学校給食の3分の1が廃棄されているとのデータもある。日頃から環境への配慮を重視している国だけに、何とか改善できないものかと、やるせない気持ちになった。 (谷悠己)