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韓国・仁川 国民食に物価高実感

2023年05月12日

 ソウル西方の仁川(インチョン)市にある「チャジャン麺(ミョン)博物館」を訪れた。チャジャン麺は黒く甘めのみそだれを麺に絡ませて食べる韓国独特の「中華料理」。庶民の代表的な外食料理で、出前の定番でもある。

 仁川駅前のチャイナタウンの一角にある博物館は、発祥といわれる店を再現した建物。1883年に仁川が開港して中国人居留地ができ、港で働く労働者らが手軽に食べられるチャジャン麺が開発された−そんな歴史を改めて知った。恋人がおらずバレンタインデー、ホワイトデーに縁がない男女が4月14日に集まりチャジャン麺を食べる「ブラックデー」という習慣も紹介され、韓国人の「国民食」ぶりが伝わる。

 目を引いたのが、チャジャン麺1杯の価格の変遷。1990年代に1300ウォン、2000年代には3000ウォン…と右肩上がりの物価を映していて面白い。展示は「現在は4000〜4500ウォン」となっていたが、実際にはソウル都心部では8000ウォン(約800円)前後が普通になっている。

 私も昔から定期的に食べたくなるメニューだけに、会計のたびに急激な物価高騰を実感している。 (木下大資)