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ハワイ島

ハワイ島 米国 手つかずの自然を遊ぶ

大雨で川となった道を馬に乗って散策。ツアーには8歳以上、体重104キロ以下の人が参加できる

大雨で川となった道を馬に乗って散策。ツアーには8歳以上、体重104キロ以下の人が参加できる

 大雨で浅い川となった道を、馬がゆっくりと歩を進める。生い茂る木々は高く、足元にはシダが広がる。まるで東南アジアの森林のようだ。手綱をすっと引いて馬を止めると、頭上にマカダミアの実がなっていた。

 ハワイ島北端の東側にあるワイピオ渓谷。高い崖に囲まれ、海に面したこの森には聖なる力が宿ると伝えられている。1946年と79年の津波では島全体で多数の死者が出たが、渓谷の住民は全員無事だった。

 渓谷を眺める高台から、4WD車でしか通行できない急傾斜の坂を抜けると、2時間半ほどかけて馬で森を巡るツアーの拠点がある。その日は小雨がぱらつき、長袖シャツを着て参加した。初の乗馬だったが、馬を操るのは簡単で何の心配もいらない。乗った馬は唯一の雌でおとなしかったものの、性格はそれぞれ。20代の外国人女性が乗った馬はぬれるのを嫌がり、川になった道の端を進みたがった。女性は木の枝にぶつかるたびに、小さな悲鳴を上げていた。

カメハメハ大王の生誕地カパアウにある大王像。ホノルルなどにあるのはレプリカ

カメハメハ大王の生誕地カパアウにある大王像。ホノルルなどにあるのはレプリカ

 白砂のビーチで泳ぎ、ブランド品をショッピング-。そんな旅行とはひと味違うハワイを楽しむなら、ハワイ諸島最大の島「ビッグアイランド」と呼ばれるこの島を訪れるのがよい。

 ハワイ諸島を統一したカメハメハ大王の生誕地。大きさは四国の半分ほどしかないものの、島の東西で気候が大きく異なる。東は全米有数の雨が多い地域で、西はほとんど雨が降らない乾燥帯。中央部には標高4000メートル超の山が2つあり、雪が積もる。世界の17の気候区分のうち、島には熱帯モンスーンや氷雪など10もの区分があるという。1周すれば「世界」を体験できるのだ。

 島の西側にあるエリソン・オニヅカ・コナ国際空港の沖では夜、船から海に飛び込み、大きなサーフボードにつかまりながら水中をのぞいて、光に集まる魚の群れを楽しめる。体長1メートル超のマンタが目の前で踊るように泳ぐ姿には、シュノーケルを口にくわえながらも歓声を上げてしまうほどだ。

 コナは、香り豊かなコーヒーの産地として世界的に有名だ。空港から車で40分ほど行くと、「コナコーヒー・リビングヒストリーファーム」がある。日本からの移民、内田大作さん一家が1913年に開いた農園と住居が残り、当時の暮らしぶりを伝える。質素な平屋の室内には、昭和天皇と香淳皇后の小さな写真が飾られていた。施設の女性ガイドで日系のパオリン・ニシダ・ミラーさん(73)の実家も島でコーヒー農園を営んでいた。「早朝から連日、コーヒー豆をつむ作業は本当に大変だった。思い出したくないという人も多いんです」と語った。

日本の移民が食べていた弁当を再現するパオリン・ニシダ・ミラーさん

日本の移民が食べていた弁当を再現するパオリン・ニシダ・ミラーさん

 島には日系人が多く、日本人の名字が英語で書かれた店の看板をよく目にする。東海岸のヒロで開かれているファーマーズマーケットでは、産地直送の果物や野菜に交じって、ちらしずしやおにぎりも並んでいた。

 もう一つ忘れてはならないのが火山だ。島はキラウエア、マウナロア、フアラライ、マウナケア、コハラの5つの火山からなり、あちこちでごつごつとした溶岩を見ることができる。

 島の東端に2018年のキラウエアの噴火による溶岩流でできた最も新しい海岸、ポホイキビーチがある。ワイキキのような白い砂浜ではなく、黒い軽石や砂で埋め尽くされていた。この噴火は、これまでのおよそ10年分の溶岩がわずか3カ月で噴出する規模で、住宅被害は700戸、2000人以上が避難した。

 「噴火の影響で日本人観光客は2割ほど減りました」と、ハワイ州観光局の石割(いしわり)彩子さん。それでも、生々しい噴火の痕跡は自然の驚異と美しさを示す新たな名所になる-。黒い海岸でオレンジ色に染まる夕暮れの空を見ながら確信した。

東海岸にある島最大の町ヒロでは、産地直送のファーマーズマーケットが毎日開かれている=いずれも米ハワイ州ハワイ島で

東海岸にある島最大の町ヒロでは、産地直送のファーマーズマーケットが毎日開かれている=いずれも米ハワイ州ハワイ島で

 文・写真 小川慎一

(2020年1月24日 夕刊)

メモ

◆交通
ハワイ島のエリソン・オニヅカ・コナ国際空港へは成田空港、羽田空港から直行便がある。
フライト時間は約7時間半。

◆観光情報
ハワイ州観光局の総合日本語ポータルサイト「allhawaii(オールハワイ)」は、情報量が豊富。
レンタカーか車をチャーターしてのオプショナルツアーが便利。

おすすめ

ロコモコ

ロコモコ
マラサダ

マラサダ

★ロコモコ
ハワイのローカルフード。
白飯の上にハンバーグと目玉焼きを載せ、肉汁で作ったグレイビーソースがかかっている。
発祥地とされる店はヒロの「カフェ100」。
店名は創業者リチャード・ミヤシロさんが第2次世界大戦中に日系人部隊の第100歩兵大隊の一員だったことが由来。
ロコモコは13種類で、価格は4.35~9.1ドル。
火山と同じ名の「キラウエア」は、ハンバーグと目玉焼きが二つでピリ辛のチリビーンソースがかかっていて、ポルトガルソーセージとスパム、マカロニサラダ付きと食べきれないほどのボリューム。

★マラサダ
大人のこぶしほどの大きさの揚げパン。
カスタードやマンゴーなどのクリームが入っているものも。
発祥地ポルトガルからの移民が作った。
北部の町ホノカアにある「テックスドライブイン」では1個1.3ドル。
出来たてはふんわりしていて、2個、3個と他の味も試したくなる。

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