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【石川】強くて柔らか 麻紙和傘 松田和傘店と連携、製作 金澤麻振興協

ジャンル・エリア : 工芸品 | 特産 | 石川  2019年12月26日

山野之義市長(右)に麻紙で作った和傘を紹介する松田重樹さん=金沢市役所で

山野之義市長(右)に麻紙で作った和傘を紹介する松田重樹さん=金沢市役所で

 県でかつて盛んだった麻栽培の再興を目指す一般社団法人「金澤麻振興協会」(金沢市)が、市内唯一の金沢和傘店「松田和傘店」と連携し、麻紙(あさがみ)の和傘を作った。市役所で24日にお披露目した。麻は繊維が長いため、柔らかさと丈夫さを兼ね備えているという。協会は2020年から麻紙の和傘やうちわ、小物を売り出す計画だ。(押川恵理子)

 苧麻(ちょま)(イラクサ科の多年草)とコウゾを混ぜ合わせた手すきの麻紙は「金澤麻」としてブランド化を進めている。番傘(直径128センチ、全長86センチ)、日傘(同106センチ、同74.5センチ)、飾り傘(同33センチ、同31センチ)の3種類が完成した。

 松田和傘店三代目の松田重樹さんは「麻紙は強い割に柔らかく、温かみのある手触り。麻紙で作った和傘は世界でもあまりないのではないか」と話す。完成品を店頭に置いていたところ、既に引き合いがあった。

 松田さんは、手仕事の価値を伝える国際NPO「ミケランジェロ財団」(イタリア)が来秋にベネチアで開く大規模な展覧会に招かれており、麻の和傘も紹介しようと考えている。

 県は伝統の麻織物「能登上布(じょうふ)」で知られ、かつて麻の産地だった。協会は18年、産地の再興を目指す県内の大学研究者や会社経営者、休耕地の所有者らが設立。かほく市と白山市の休耕地で苧麻を栽培している。日傘の麻紙はユズの染料で染めた。染料は北陸先端科学技術大学院大講師の増田貴史さんが提供した。