ジャンル・エリア : オブジェ | 展示 | 工芸品 | 温泉 | 甲信越 2022年02月22日
2000体のひな飾りが華やかな阿智村昼神温泉郷の旅館「石苔亭いしだ」の能舞台で、中央に鎮座するわら製の大きな守り神「ヤークー」に合わせて、今月から着物生地の人形「ヤークー」が加わった。協力して地域を見守り、厄をはらう。展示は4月3日まで。
ヤークーは、冬の温泉郷を守る「湯屋守様」から派生した同館オリジナルの守り神。年ごとに姿形が異なるが、春には炊きあげて天に帰すため、再現した人形で特徴を記録している。今年の人形は、2021年のヤークーがモチーフで、うし年にちなんで角やひづめがある。
人形は赤と黒色が基調で、高さ20センチほど。生地は混じり物のない「正絹」にこだわり、100年前から最近のものまで、200種類の古布から20種類を選んで使った。飯田下伊那地域らしく、伝統工芸の飯田つむぎと水引で角や鼻輪、チョウネクタイをあしらった。
デザインから型紙を起こし、人形を制作した飯田市の服飾デザイナー岩下昭子さんは「顔の立体感、ひづめや波打つしっぽの表現に苦労した。職人技が詰まった生地があり、それを提供してくれる人がいて、作品を生み出せることに幸せを感じる」と話している。(石川才子)