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【岐阜】<タイルみっけ 名称統一100周年> 多治見のミュージアムで企画展

ジャンル・エリア : 展示 | 岐阜 | 文化  2022年04月12日

焼き物らしい質感の陶板を見る来館者

焼き物らしい質感の陶板を見る来館者

 化粧煉瓦(れんが)や貼付(はりつけ)煉瓦などと呼ばれていた建材が「タイル」と名称が統一されてから12日で100周年を迎えるのに合わせ、多治見市笠原町の市モザイクタイルミュージアムで、名称統一前の「タイル」に焦点を当てた企画展が開かれている。明治~大正期を中心とした職人や絵師らの技が光る豪華な品々を通じ、タイル業界の変革を感じられる。 (片岡典子)

 ミュージアムによると、焼き物による建材は6世紀に仏教とともに伝来。一度は廃れたが、鎌倉時代に中国から禅宗と一緒に中国の建築様式が伝わり、床に「敷瓦(しきがわら)」を敷いた建物が造られるように。江戸時代末期ごろ、西洋のタイルが伝わり、日本では西洋の影響を受けつつ、日本らしい表現を模索する製品が作られた。

 企画展ではこうした職人らの努力を感じられるタイルなど計40点余を展示。例えば、瀬戸で窯を営んだ3代加藤善治(ぜんじ)(1848~1918年)による板状の磁器は、ゆがみのない土台に、絵師が竜などを繊細な筆致で描いている。

 京都の陶磁器試験所では、より日本的な表現を模索。布目や凹凸を付けて、土らしい柔らかな風合いを出そうとした陶板が残っている。瀬戸で明治~大正に製造された敷瓦は西洋風の絵柄が転写などで施されている。大きさや厚みも従来の敷瓦よりも小さく、薄くなり、欧米のタイル文化の影響を感じさせる。

善治が土台を作り絵師が描いた磁器製の板

善治が土台を作り絵師が描いた磁器製の板

 このようにさまざまな呼称や見た目、機能の物が作られたことで、学芸員の村山閑(のどか)さん(46)は「建物に施工する際、顧客の注文が、何を指しているのか分からず、施工職人が困ってしまい、画一的にしていこうという動きになったのでは」とみる。1922年に平和記念東京博覧会の会場でタイルに携わる業者が大会を開き、全会一致で「タイル」に名称を統一することを決めた。

 その後、タイルは用途に応じて、一定の基準に沿った製品が作られるようになっていき、製品としての精度は向上した。一方で職人の手作業によるタイルは廃れていった。村山さんは「名称統一は、タイルにとって大きなできごとだったことが伝われば」と話す。

 会期は9月4日まで。観覧料310円(高校生以下無料)が必要。月曜(祝日の場合は翌平日)休館。(問)モザイクタイルミュージアム=0572(43)5101

瀬戸で作られた西洋風の絵柄の敷瓦=いずれも多治見市笠原町の市モザイクタイルミュージアムで

瀬戸で作られた西洋風の絵柄の敷瓦=いずれも多治見市笠原町の市モザイクタイルミュージアムで