ジャンル・エリア : 展示 | 工芸品 | 愛知 | 文化 2023年09月14日
白雲と呼ばれる軽量の陶器で作られたセトノベルティ(陶磁器製の置物や装飾品)の発展に迫る企画展が、瀬戸市蔵所町の瀬戸蔵ミュージアムで開かれている。12月27日まで。
白雲陶器は、1933年、国の陶磁器試験所で開発された。ドロマイト(和名・白雲石)という石をまぜた粘土で作られた素地を指す。白くて軽く、発色がいいことから、昭和期に海外で高い人気を誇ったセトノベルティの原料として使われた。しかし、太平洋戦争の勃発で輸出拡大の動きは頓挫した。
会場には、海外向けに瀬戸の企業が白雲を使って作った置物など計117点が並ぶ。果物かごを持つ西洋風の貴婦人をかたどった作品は、繊細なドレスの表現が印象的。粘土を染み込ませた布で形を作り、焼いてある。支えがなくても置くことができるよう焼成された馬の細い脚が目を引く作品もある。犬山市の男性(39)は「展示の中には、祖父が持っていたような懐かしさを感じるものがある」と話していた。
同ミュージアムの岩井理学芸員は「温かさやレトロ感のある作品がそろった」と来場を呼びかけている。午前9時~午後5時。一般520円、高大生・65歳以上310円。第4月曜は休み。(問)ミュージアム=0561(97)1190
(加藤慎也)