ジャンル・エリア ： 歴史 | 神社・仏閣 | 近畿　 2022年05月17日

完成した天子絵巻。（右上から時計回りに）瓦屋禅寺、太郎坊宮、観音正寺、竜王観音禅寺

　聖徳太子の没後１４００年に合わせ、東近江地域にある太子ゆかりの４社寺が「天子絵巻（散華）」を作った。形はさまざまで、絵は草木染の染め液での創作を続ける画家の草笛由美子さん（７３）＝守山市石田町＝が手掛けた。裏面には住職や宮司が「和を以て貴しと為す」など太子ゆかりの言葉を記した。２２日から１枚３００円で配布する。

　瓦屋禅寺（東近江市）の絵巻の形は、千手観音の手のひらと、時刻を知らせる際に打ち鳴らす「雲板」の２種類。紅葉の妖精や太陽、月を描き込んだ。太郎坊宮（同）は円形で、エネルギーが感じられる山や岩をイメージして描いた。

　観音正寺（近江八幡市）は人々や大地に恵みをもたらす雫の形で、観音様に寄り添うウサギや鳥のほか、花の絵も。竜王観音禅寺（竜王町）は蓮華の形。般若心経を背景に、中央の観音様を包むように３頭の竜を描いた。草笛さんは「ゆかりの社寺を季節ごとに歩き、太子が込めた思いを体で感じたまま描いた」と説明している。

　天子絵巻は１６日、竜王観音禅寺で披露された。２２日に「近江の魅力再発見事業」の幕開けとして、太子の１４００年御遠忌大法会を営む、観音正寺の岡村遍導住職（５５）は「１４００年の節目に地域の魅力を磨き上げ、社寺だけでなく、皆で東近江地域を盛り上げたい」と話した。
　（松瀬晴行）

完成した天子絵巻を手にする住職や宮司ら＝竜王町小口の竜王観音禅寺で