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【長野】梓川の恩恵と水害の歴史を学ぼう 松本で絵図展示

ジャンル・エリア : 展示 | | 歴史 | 甲信越  2022年06月08日

江戸時代の梓川を描いた絵図を紹介する長岡さん(左)ら=松本市梓川アカデミア館で

江戸時代の梓川を描いた絵図を紹介する長岡さん(左)ら=松本市梓川アカデミア館で

 松本市の梓川アカデミア館で8日から、梓川と人々の暮らしを紹介する展示「梓川かわものがたり―水害と開発の歴史を絵図から探る―」(中日新聞社など後援)が始まる。実行委会長の長岡寿さん(85)=同市新村=は「先人たちが生活用水をどのように確保したか、災害時にどのように復興してきたのかを見てほしい」と話す。

 展示するのは、江戸時代から明治後期までの絵図の原寸複写をはじめ、写真やパネルなど60点。現在の松本市西部地域や安曇野市などが描かれており、時代ごとの絵図からは、川の地形の変化や、生活用水を引くために人工的に造られた堰、川が増水したときに氾濫を防ぐ設備「川除」の変遷を知ることができる。

 このうち県立歴史館が所蔵する「梓川川除絵図」(1797年)は上流と下流を描いた2枚で、いずれも初公開。上流は縦120センチ、横360センチ、下流は縦80センチ、横760センチの大きさで、川の流れや集落名などが記されている。

 梓川は急峻な斜面を流れるため氾濫が多い。住民は堰を造って生活用水を引き、農業用水は「頭首工」を設けて水を各地域に平等に配分した。長岡さんは「氾濫の危険性がある一方、人々はさまざまな試行錯誤で梓川の水の恩恵を受けてきた」と話す。

 展示は、県内の歴史研究者らでつくる歴史的水害史料活用研究会と、流域の住民らによる実行委が主催。当初は2月に開く予定だったが新型コロナウイルスの影響で延期した。長岡さんは2019年の台風19号による長野市の千曲川堤防決壊に触れ「梅雨で雨の多くなる6月に改めて(梓川について)考えてほしい」とした。

 会場では8、11、18、19日の午前10時半と午後2時から展示品の解説がある。展示は19日まで。入場無料。(問)梓川アカデミア館=0263(78)5000。

 (飯村健太)