ジャンル・エリア : グルメ | 乗り物 | 富山 | 特産 | 自然 2022年06月23日
金沢市で4年間勤務していたとき、金沢旅行に来た親戚が土産売り場で「これ欲しかったの」と言って手に取ったのは、白エビ煎餅だった。それ、富山名物じゃん…。以来、富山へのライバル心をちょびっと抱えていた金沢びいきの私に、富山市内を巡る取材ツアーのお誘いがあった。一体どんな魅力があるのか。いざ敵情視察(?)へ-。
地元情報誌「月刊グッドラックとやま」編集部の皆さんの案内で最初に訪れたのは、富山城址(じょうし)公園の松川茶屋。その脇を流れる松川が今日のスタート地点だ。雑誌など他の記者の方々と松川遊覧船に乗り込む。春は川沿いの桜並木を目当てに多くの人が乗るそうだが、もうすっかり葉桜だし微妙かなぁ…。そんな思い込みは、船が進むにつれ簡単に打ち消される。
青空と木々の緑が映る静かな水面を、赤い船がすーっと進む。流れの中を見れば、悠々と泳ぐ魚たち。うーん、のんびりして気持ちいい。青葉にエネルギーをもらえる気がする。船旅のお供に頂いた和菓子店「菓子匠平安堂」の上生菓子にも癒やされ、私のちっぽけな富山へのライバル心は、早々に消え去った。
「昔は船を鎖でつなげて橋にしていたんですよ」と船長さんに解説してもらいながら、往復約2.4キロの距離を30分かけて遊覧した。速度は分速80メートル。人が歩く平均的な速さと同じだ。だからよけいに心地よかったのかもしれない。
下船して、公園内の富山市郷土博物館で富山城の歴史を学んだ後は、農産物直売所「地場もん屋総本店」へ。朝とれたばかりのカブなど旬の野菜や新鮮な海の幸、手作りの総菜…地元の生産品が集まっている。まちなかのアーケード街にあって便利な立地なので、多くの人が訪れていた。近隣の飲食店の料理人が食材を買いに来ることもあるというほど、品質は高い。
旅先で生鮮品を買う機会は少ないかもしれないが、店長の田近寛充さんによると「宿泊先で、地元食材を使って料理を作るお客さんもいる」そうだ。まさに「暮らすように旅をする」のにうってつけの場所だ。
歩く速さのごとく、のんびりじっくり街の魅力を巡る取材ツアー。紹介したい場所はまだたくさんあるので、この続きは来週掲載いたします。 (堀井聡子)
▼ガイド 松川遊覧船の乗船料は、大人1600円、子ども750円。(電)076(425)8440。菓子匠平安堂は(電)076(421)1312。富山市郷土博物館は(電)076(432)7911。地場もん屋総本店は(電)076(481)6337
(中日新聞夕刊 2022年6月23日掲載)