ジャンル・エリア : 展示 | 芸術 | 近畿 2022年09月02日
人を水に引きずり込む「河太郎」や、大きな僧侶の姿をした「二丈坊」など、彦根市周辺の伝承や記録に残る妖怪をイラスト付きで紹介する企画展「淡海の妖怪」が、同市本町2の夢京橋あかり館2階にある「まちなか博物館」で開かれている。(渡辺雄紀)
会場には、県内在住のイラストレーター連藤久見子さんが描いた妖怪のイラスト22点が並び、そばに解説パネルも添えている。
二丈坊は、6メートル余りの大きさがある妖怪で、多賀町から東近江市の永源寺にかけて出没したとされる。子どもを怖がらせた伝承はないが、子どもを叱る際に「二丈坊がやって来る」と使われたという。
真っ黒な鬼のような姿として描かれた「ショウケラ」は、中国の道教に由来した民間信仰である庚申信仰に関連した妖怪だとみられる。カッパを意味する河太郎では、旧彦根藩主の井伊直亮のコレクションの一つで、その姿が描かれた「河太郎図」が展示されている。
城下町で暮らしていた江戸時代の町人が記した「田中藤助の日記」もあり、現在の富山県で出たとされる人魚のような姿をした生物のイラストが描かれ、「人蝶」と呼ばれていたことが分かる。
同市出身の造形作家安居智博さんのコーナーもあり、日用品で制作した「日用品ヒーロー」や、紙でつくったロボット「カミロボ」を公開している。「人間が使う道具が100年という年月を経ると精霊を得て付喪神に変化する」との考えがあり、妖怪に通ずるものがあるとして並べたという。
企画展の終了日は未定。火曜定休。大人270円、小中学生130円。(問)夢京橋あかり館=0749(27)5501