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【石川】沈金 山岸さん美の世界 「人間国宝」県輪島漆芸美術館で展覧会

ジャンル・エリア : 展示 | 工芸品 | 石川  2022年09月20日

山岸一男さんの作品が並ぶ会場=輪島市水守町で

山岸一男さんの作品が並ぶ会場=輪島市水守町で

 輪島市水守町の県輪島漆芸美術館で、沈金の重要無形文化財保持者(人間国宝)山岸一男さん(68)=河井町=の作品を集めた展覧会「彫りを彩る 人間国宝 山岸一男の世界」が開かれている。20代で制作した作品から、近作まで59点が並ぶ。(日暮大輔)

 22歳で日本伝統工芸展に初入選した「沈金草花文色紙箱(ちんきんそうかもんしきしばこ)」は箱の表面にナナカマドの花を表した。沈金はのみで文様を彫り、彫り跡に漆をすり込んで、金粉などを埋め込む加飾技法。山岸さんは溝に色漆を埋める「漆象嵌(ぞうがん)」や文様の表現に輝く貝殻を使う「螺鈿(らでん)」などの技法も用いる。

 山岸さんは旧輪島実業高卒業後、沈金師の故福光文次郎(ふくみつぶんじろう)さんに師事。沈金を応用した技法で表現の可能性を広げ、2018年に人間国宝に認定された。「師匠の弟子となって、50年がたちました。休まずによくここまで来られた。展示の機会をもらえて幸せです」と喜ぶ。

 輪島塗は木地作りや下塗り、上塗りなど分業制で発展してきた。山岸さんの作品にも木地や髹漆(きゅうしつ)(漆塗り)を担った職人らがいる。山岸さんは「木地や塗りの職人との信頼関係があって初めて、作品が作れる。輪島塗は後継者不足の問題もある。若い人に『こんな物を作れたらいいな』と思ってほしい」と語った。

 11月6日まで、午前9時~午後5時。一般630円、高校・大学生320円、小中学生150円。