ジャンル・エリア : 展示 | 歴史 | 静岡 2022年11月10日
浜松市美術館(中区松城町)で開催中の企画展「名刀 泰平を切り開く −戦国から江戸へ−」(中日新聞東海本社など主催)の一部展示替えがあり、豊臣秀吉が所持した重要文化財の名刀が新たに展示された。
佐野美術館(三島市)所蔵の「刀 金象嵌銘(きんぞうがんめい) 備前国兼光(びぜんのくにかねみつ) 本阿弥(ほんあみ)(花押(かおう))」(南北朝時代)。岡山県(備前伝)の刀工兼光の作で刃長は83・5センチ。帽子と呼ばれる鋒(きっさき)が大きく、うねるような「のたれ」の刃紋に「沸(にえ)」と呼ばれる細かな粒子がついている。
豊臣秀吉が所持したと江戸時代の刀剣台帳「享保名物帳(きょうほうめいぶつちょう)」に記載がある。台帳は8代将軍徳川吉宗が、諸大名の所蔵する名刀を調査するために編纂(へんさん)させた。刀が「快気祝い」「祝儀の引き出物」「家督の相続」などの贈答品として用いられるようになり、価値を正しく見極めるため、鑑定が必要になった時代背景がある。
本展は12月4日まで。月曜休館。(問)美術館=053(454)6801
(田中伸一)