ジャンル・エリア : 展示 | 歴史 | 甲信越 | 芸術 2023年02月28日
冬期休館中の安曇野ちひろ美術館(松川村)が3月1日に今年の業務を再開する。平和を希求したいわさきちひろ(1918~74年)がその願いの対象であり、平和の象徴である子どもを描いた作品や、戦争をテーマにした絵本を紹介する展覧会「ちひろの願い『世界中のこどもみんなに 平和と しあわせを』」が同日に始まる。5月28日まで。
館によると、ちひろは青春期を戦時下で過ごし、戦後は画家、一人の母親として平和への願いを絵筆に託して子どもを描き続けた。
展示するのは作品68点と資料を合わせて計86点。安曇野でも足音が聞こえるようになった「春」の日差しの中で遊ぶ子どもの情景や、命の輝きに満ちるいたいけな赤ちゃんを題材にした作品をはじめ、ヒロシマで被爆した子どもたちの詩や手記に絵を付けた「わたしがちいさかったときに」、自身の空襲体験を重ねた「戦火のなかの子どもたち」など絵本3冊の原画が並ぶ。他に自伝的絵本「わたしのえほん」を通じてちひろの幼少期や戦争体験も追想。63年に旧ソ連を訪れた際に描いたウクライナ・キーウの普段の街並みや売店の様子など初公開のスケッチもある。今展覧会名は70年に制作した「ベトナムの子供を支援する会」主催の反戦野外展ポスターに添えたちひろの言葉だ。
ロシアのウクライナ侵攻から1年が過ぎた。館担当者は「今こそ、絵を通してちひろの願いをきちんと伝えたい」と話している。
会期中、ちひろ美術館コレクション「なんて世界は素晴らしいのだろう」と、新規収蔵作品の小企画展「司修(つかさおさむ)『まちんと』」も同時開催。3月26日は県民感謝デーとして県内に住む人は入館無料。(問)安曇野ちひろ美術館=0261(62)0772
(逢沢哲明)