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【長野】いわさきちひろ作品であそぼ 松川村の美術館、没後50年で体験型の企画展

ジャンル・エリア : 展示 | 甲信越 | 芸術  2024年03月13日

歩くと色のにじみが足跡のように浮かび上がる床。左奥は曇りガラスの落書きを体験できるスクリーン。曇りの向こうにちひろの絵が隠されている

歩くと色のにじみが足跡のように浮かび上がる床。左奥は曇りガラスの落書きを体験できるスクリーン。曇りの向こうにちひろの絵が隠されている

 絵本画家いわさきちひろ(1918~74年)の没後50年の企画展「こどものみなさまへ」が、松川村の安曇野ちひろ美術館で始まった。ちひろが生涯大切に描いた「あそび」「自然」「平和」の三つのテーマごとに、それぞれ会期をかえて12月まで開催。第1弾の「あ・そ・ぼ」は、何でも遊びにする子どもを描いた作品100点を、子どもから大人までが一緒に遊びながら鑑賞できる楽しい仕掛けが満載だ。(逢沢哲明)

 この展覧会は、さまざまな手法や道具で体験型の展示・演出を手がけるアートユニット「plaplax」が考案した仕掛けが随所に。穴をのぞくと、レンズの向こうにちひろ作品の細部がクローズアップされて見えたり、絵本「ぽちのきたうみ」の絵を見ながら、小さな階段を上がると子犬の鳴き声が聞こえたり。歩くと、ちひろの絵の代名詞「にじみ」の8色が足跡のように浮かび上がる床や、絵本「あめのひのおるすばん」に描かれた曇りガラスへの落書きを特殊なスクリーンで体験できる新作もある。

 展示の中には、ベトナム戦争で遊ぶ場所が奪われた子を題材にした絵本「戦火のなかの子どもたち」など「あそびと戦争」の作品も。京都大准教授森口佑介さんが発達心理学の視点で絵を読み解いて考察を加えたパネルもあり、作品の理解を助ける。

絵本を立体形にしたような「絵本を見るための遊具」で、ちひろの絵を楽しむ親子=いずれも松川村の安曇野ちひろ美術館で

絵本を立体形にしたような「絵本を見るための遊具」で、ちひろの絵を楽しむ親子=いずれも松川村の安曇野ちひろ美術館で

 長女(1)を抱いて鑑賞していた安曇野市穂高の女性(30)は「絵に触ったりもできる遊び感覚の展覧会は楽しい。娘が歩けるようになったらまた来たい」と話していた。

 館の担当者は「館内全て、絵を見ることを『あそび』にする展覧会。ちひろの世界を体感してほしい」と鑑賞を待っている。

 「あ・そ・ぼ」は6月2日まで。水曜休館。(問)同館=0261(62)0772