ジャンル・エリア : 富山 | 展示 | 文化 | 芸術 2023年05月08日
◇高岡市万葉歴史館で複製原画展
「日本の植物分類学の父」と呼ばれる植物学者の牧野富太郎(1862~1957年)が万葉集の歌に詠まれた植物図鑑「万葉植物図譜」を発刊するために生前準備していた原画の複製を紹介する企画展「牧野富太郎と万葉集」が高岡市万葉歴史館で開かれている。6月12日まで。
牧野がモデルのNHK連続テレビ小説「らんまん」が放映中で、意外と知られていない牧野と万葉集の関わりを広く知ってもらおうと企画した。牧野は1935(昭和10)年にはヤマハギの採集で富山県を訪問したこともある。
万葉植物図譜は未刊ながら、遺品から110枚余りの「万葉植物図」、168種類の万葉植物名が並ぶ「万葉植物目録」、万葉植物図譜用の原稿が見つかっている。複製原画は練馬区立牧野記念庭園(東京都)の協力で、万葉植物図の中から15点を展示。北陸で初めてという。牧野が描いた紅葉した「ナシ」の葉をはじめ、画家の水島南平(故人)が花を描き、牧野が枝と葉を付け加えた「ミツマタ」など植物細密画が目を引く。
ほかにも牧野を私淑する「越の花俱楽部(くらぶ)」(富山市)の会員が描いたボタニカルアート(植物画)25点、大原富枝さんの著作「草を褥(しとね)に 小説牧野富太郎」、青年時代の牧野の写真などもある。歴史館の田中夏陽子(かよこ)主査研究員は「万葉集の歌世界を牧野の情熱を通じて感じてほしい」と話している。(武田寛史)