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【長野】触って楽しむ「手で見るアート」 長野県立美術館で全盲美術家の作品展

ジャンル・エリア : 展示 | 甲信越 | 芸術  2023年08月21日

手で触れながら鑑賞を楽しむ来館者たち

手で触れながら鑑賞を楽しむ来館者たち

 手で作品に触れながらアートを楽しむ展示が、長野市の県立美術館で開かれている。全盲の美術家で京都府在住の光島貴之さんの作品で、板などにくぎや画びょうを打ち込み、線や図形を描いている。10月24日まで。

 県立美術館が2021年4月のリニューアルに合わせて設置した、視覚以外でも美術作品を楽しめる場「アートラボ」で展示されている。

 展示の5点は、アートラボ発足時に同館が光島さんに依頼して制作されたが、新型コロナウイルス感染拡大対策で鑑賞が制限されてきた。今回は初めて、制限なく作品に自由に触れることができる。

 縦1.4メートル、横2.5メートルの大型作品「かたちと手ざわりで行ったり来たり」は、木製パネルに大きさや形が異なるくぎや画びょうが数100本打ち込まれている。打ち込む深さも異なり、手でなでると音が出る部分もある。

 
さまざまな素材が使われた「新しい点字ブロック」=いずれも長野市の県立美術館で

さまざまな素材が使われた「新しい点字ブロック」=いずれも長野市の県立美術館で

 担当学芸専門員の青山由貴枝さん(35)は「中央の赤い図は太陽にも花にも見える。目で見るのと、手で『見る』ので感じ方が全然違うと思う」と話す。

 くぎや画びょうに加えて、ステンレス板やベニヤ板、スポンジゴムなどを貼った「新しい点字ブロック」には、触れることで詳細に方向を伝える作品や、時計をイメージしたものもある。青山さんは「人間は目で7~8割の情報を得るという。自分の気付かなかった感覚を再認識しながら、アートを楽しんでほしい」と話している。

 10月15日には、光島さんを招いた作品鑑賞会などのイベントが開かれる。参加者の募集は終了したが、キャンセルが出れば、同館のホームページで9月15日から追加募集する。 (清水悠莉子)