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【京都】居酒屋で至福の“酒蔵巡り” 日本酒修業 京都市

ジャンル・エリア : グルメ | 特産 | 近畿  2023年08月31日

全30種類、壮観の日本酒とおつまみセット

全30種類、壮観の日本酒とおつまみセット

 今回のこの欄は、日本酒の好きな人のために書きます。お酒を飲まない方や、20歳未満の方は、ごめんなさい。

 元文(げんぶん)というお酒をご存じでしょうか。岐阜県は郡上市、旧白鳥町の蔵元のお酒です。私は岐阜県の出身で、県内の主なお酒は一通り飲んだ気でいましたが、本紙の先輩記者から教えていただくまでは、全く知りませんでした。

 そしてこれがとんでもなくおいしい上に受賞歴も多数の銘酒で、私は己の不明を深く恥じました。ああまだ勉強が足りない、修業しなくては。

 そんなわけで日本酒修業に出かけた先は、京都市です。神戸市の灘(なだ)と並んで古くから「酒どころ」として知られる伏見を擁するまち、ですね。

 といっても、京都の市内はもちろん、京都府内には良い蔵元が山ほどあります。みな訪ね歩くのはちょっと無理。そんなとき実に便利なお店がありまして、京都の真ん中の四条駅から歩いて5分ほどの居酒屋「京都酒蔵館」です。

提灯の揺れる屋台

提灯の揺れる屋台

 「居ながらにして京都酒蔵巡り!」というのがこちらのお店のキャッチフレーズで、伏見をはじめ、京都府の北の丹後地方まで、幅広い地域の酒蔵の銘酒が味わえます。

 お薦めは「15蔵の利き酒セット」2種。京都北中部の蔵元15蔵と南部の15蔵、そのお酒を小ぶりのグラスで少しずつ試せるセットです。セット1つで約2合(およそ360ミリリットル)分というからありがたいです。なぜって、15蔵分をみんな1合徳利(とっくり)で飲んだなら、数蔵もいかないうちに私はダウンします。

 2種とも注文して並べて、さらにお酒にあうおつまみを少しずつ取りそろえた豪華な「15種あてセット」もお願いします。壮観です。

 さて、修業開始です。少しずつ口に含んでは香りや味、喉ごしなどを試すのですが、これまで知らなかった蔵元のお酒をはじめみなおいしく、さらに合鴨(あいがも)ロースや笹巻麩(ふ)、モロコ山椒(さんしょう)煮などおつまみもよく合い、修業なんて忘れてひたすら幸せになります。

 1つ、発見がありました。伏見には「黄桜」など有名な蔵元がありますね。そうした蔵元のお酒は全国のどこでも飲めますからこれまでは少し敬遠していたのですが、でも虚心坦懐(きょしんたんかい)に味わうと、これがおいしい。以前、酒どころの石川県で、有名な酒屋さんの名物店長が「大手メーカーがちゃんと造った酒は、やはりうまいんだ」と教えてくれたことを思い出しました。

店内のカウンター

店内のカウンター

 滞在およそ2時間、存分に堪能しました。次に来た折はいい雰囲気のカウンター席に座ろうかな。お店の方にお礼を述べて外に出ればそうだ、今日は祇園祭の後祭(あとまつり)なのでした。

 夕闇に映える提灯(ちょうちん)を見つつ帰路につきましょうか。来月21日と28日は元文のふるさと・旧白鳥町を訪れた報告をします。 (三品信)

 ▼ガイド 京都酒蔵館は京都市下京区仏光寺通室町東入る釘隠町236、(電)075(354)5353。基本的に月曜定休です。利き酒セットは、北中部も南部も、ともに1セット2180円。おつまみの15種あてセットは3000円で、内容はその日の仕入れによって変わります。このほかにもコースや単品の料理、ドリンクなどがあります。

(中日新聞夕刊 2023年8月31日掲載)