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【岐阜】世界の不条理や美しさ表現 池田・極小美術館で彫刻家の小野さんら個展

ジャンル・エリア : 展示 | 岐阜 | 芸術  2023年10月03日

砂の上で立とうとするトーシューズを表現した小野さん(左)の作品

砂の上で立とうとするトーシューズを表現した小野さん(左)の作品

 彫刻家小野允子(のぶこ)さん=大垣市=と、画家で東海学院大短期大学部講師の北村武志さん=多治見市=の個展が、池田町草深の極小美術館で開かれている。11月5日まで。

 小野さんの作品は42足の陶製のトーシューズが、有刺鉄線が絡まる砂の上で立とうとしている様子を造形した。砂の上でバレエのつま先立ちをしようとしても立てない、立てないのにつま先立ちをする様子から、ウクライナ侵攻など不条理な状況にある世界への思いを表現した。

 陶製だが特殊な釉薬(ゆうやく)で金属のように光沢を放つ有刺鉄線とトーシューズを用い、さまざまな作品を手がけてきた小野さん。「シューズは一つ一つ違い、それぞれに表情がある。改めて今、世界の不条理を認識してほしい」と話す。

 北村さんは美術館3階にある教会のような三角屋根のスペースに、12点の「顔」を展示した。全て同じサイズで、銀色の背景。髪形や服の種類は違えど黄金色の髪、黒い服の人物たちが前を向く。どれも無表情だが、口の形や瞳の光などのわずかな違いから、かすかにほほ笑んでいるようにも、怒りの表情のようにも見えてくる。

顔をテーマにした作品と北村さん=いずれも池田町草深の極小美術館で

顔をテーマにした作品と北村さん=いずれも池田町草深の極小美術館で

 北村さんは美しさとは何かを問い続け、顔をテーマに創作を続けている。「『顔』を通し、シンプルさの中に美を追求したい」と思いを込める。

 美術館は予約に応じて開館する。(問)美術館=090(5853)3766

 (今井智文)