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【滋賀】ダムに沈んだ徳山村とカメラばあちゃん 伊吹山文化資料館で増山たづ子さん展

ジャンル・エリア : 展示 | 文化 | 近畿  2023年10月11日

ダムに沈む前の徳山村の風景を写した増山さんの写真

ダムに沈む前の徳山村の風景を写した増山さんの写真

 米原市春照の伊吹山文化資料館で、ダムに沈む前の岐阜県徳山村(現揖斐川町)の風景や人々を撮影し続けたアマチュアカメラマン増山たづ子さん(1917~2006年)を特集する企画展「いまも生きる『カメラばあちゃん』~増山たづ子と“写真のなかの徳山村”~」が開かれている。11月5日まで。

 徳山村で生まれ育った増山さん。昭和30年代にダム建設の話が持ち上がり、太平洋戦争で行方不明になった夫の徳治郎さんが帰還した時のために村の様子を残そうと、60歳から撮影を始めた。88歳で亡くなるまで、10万コマのネガフィルムと、660冊のアルバムを残した。

 米原市甲津原から徳山地域まで直線距離で約25キロ。二つの峠を越えるとたどり着く。故郷がなくなるという体験をした徳山の人々の記録を伝えようと、資料館ではこれまでも2回、増山さんの写真を紹介する企画展を開いてきた。

ネガフィルムを入れる封筒。撮影日時などのメモがびっしりと記されている=いずれも米原市春照の伊吹山文化資料館で

ネガフィルムを入れる封筒。撮影日時などのメモがびっしりと記されている=いずれも米原市春照の伊吹山文化資料館で

 今回は写真だけでなく、関連する書籍や新聞記事などを通じて、増山さんが亡くなった後も各地で写真展が開かれるなどして徳山村の記録が伝えられてきた歩みを紹介している。盆踊りや中学校の卒業式など、村の日常を捉えた写真約60枚や、撮影日時や内容がびっしりと記されたネガフィルムを入れる封筒などが目を引く。

 資料館の担当者は「亡くなった後も写真を通じ、徳山村の記憶を伝え続けてきた増山さんの功績を知ってほしい」と話している。

 14日午前10時から、増山さんの資料を管理する「増山たづ子の遺志を継ぐ館」代表の野部博子さんが講演する。

 (形田怜央菜)