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【富山】浮世絵 射水・大楽寺が限定公開 立山 地獄谷で妖怪カエル合戦

ジャンル・エリア : 富山 | 展示 | 歴史 | 神社・仏閣 | 芸術  2023年11月07日

肉芝仙人(中央)や蛙合戦が表現された錦絵

肉芝仙人(中央)や蛙合戦が表現された錦絵

 射水市立町の大楽寺は20年以上、保管してきた立山・地獄谷に関連する貴重な浮世絵(錦絵)1枚を7日から12月末まで期間限定で一般公開する。

 錦絵は3枚続きで、表題は「越中立山地獄谷肉芝(にくし)仙人蛙合戦の図」。ガマガエルの妖怪「肉芝仙人(肉芝道人)」が、妖怪を引き連れる平良門、土蜘蛛(つちぐも)に守られた伊賀寿太郎に妖術で蛙(かわず)合戦を見せている様子が表現されている。蛙たちが組み合い、草花をやりに見立てて争う姿が見て取れる。大きさは縦73センチ、横36センチ。浮世絵師の芳虎の名が記されている。

 江戸時代の戯作者・山東京伝(さんとうきょうでん)の未完の読本「善知安方(うとうやすかた)忠義伝」=1806(文化3)年=の前編の挿絵が元になっている。読本は平将門没後の後日物語で、将門の遺児の平良門が復讐(ふくしゅう)のために妖術で暗躍しようとする筋書きと、それを遺臣の善知安方がいましめようとする筋書きが絡まって展開していく物語。立山信仰の立山地獄説話とも関係が深い。

 錦絵は、田村晴彦住職が20年以上前に東京都・神田神保町の古書店で偶然に見つけて購入した。9月に富山市で三霊山サミットが開かれたのを契機に立山の魅力を深める研究に役立つと考え、一般公開を思い立った。

 
錦絵について説明する田村晴彦住職=いずれも射水市の大楽寺で

錦絵について説明する田村晴彦住職=いずれも射水市の大楽寺で

 田村住職は「ロンドン美術館にも所蔵されているという。数少ない錦絵の原点が富山にあることを知ってもらえたら」と話す。1日に調査した立山博物館学芸課長の奥沢真一郎さん(55)は「実物は初めて見ましたが、保存状態が極めて良好。数が少なく貴重」と話す。

 浮世絵の見学には電話予約が必要。拝観料は300円。(問)大楽寺0766(82)3016

 (武田寛史)