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【三重】江戸時代の災害記録に学ぶ 松阪の旧長谷川治郎兵衛家で企画展

ジャンル・エリア : 三重 | 展示 | 歴史  2024年02月06日

「火の用心」の文字の版木

「火の用心」の文字の版木

 松阪の豪商旧宅に残された火事や地震などの記録を紹介する企画展「商家長谷川家と災い」が旧長谷川治郎兵衛家(松阪市魚町)で開かれている。同館の学芸員は「当時の災害の状況や対策を知り、今日の災害対策や心構えの一助になれば」と来場を呼びかけている。4月7日まで。(木村光希)

 火災に遭ったとき、長谷川家では奉公人がどう動くべきかを示した就業規則のような書類。火災後に建物の建て直しなどで費用がかかるため、節約を奉公人に呼びかける本。企画展では江戸時代に起きた全国の火事や大地震の記録、江戸や松阪の店に常備された防火対策の道具など42点が展示されている。

 江戸は「火事は江戸の華」と言われるように火災が多発し、松阪商人の店もたびたび被災した。火災を防ごうと、当時の人たちが使った防災グッズも並ぶ。

 消火に使う水鉄砲のほか、火災が起きないように願うまじないが書かれた紙も。また、当時の人々が地震の原因だと信じていたナマズに対し、大工などが餅を振る舞っている様子を描いた錦絵「三職よろこび餅」もある。地震の後、被災した建物を建て替えるため、大工やとび職などの需要が増し、彼らが大金を得たことを感謝しているのだという。

「三職よろこび餅」(右端)などの資料が並ぶ企画展=いずれも松阪市魚町の旧長谷川治郎兵衛家で

「三職よろこび餅」(右端)などの資料が並ぶ企画展=いずれも松阪市魚町の旧長谷川治郎兵衛家で

 1854年に起きた安政東海地震、安政南海地震の様子を記した「大地震世直仕艸紙(おおじしんよなおしそうし)」という本も展示されている。崩れた家につぶされる人や、橋を破壊している様子などが描かれており、地震の被害の大きさを読み取れる。

 同館を管理するNPO法人松阪歴史文化舎学芸員の扇野耕多(おぎのこうた)さん(26)は「ナマズの錦絵に見られるように江戸時代の人は災害をさまざまな視点で捉えていたことがうかがえ、興味深い」と話している。

 午前9時~午後5時開館。水曜休館。入館料は一般400円(税込み)、6歳以上18歳以下200円(税込み)。(問)NPO法人松阪歴史文化舎=0598(21)8600