ジャンル・エリア : 展示 | 愛知 | 芸術 2024年03月12日
一宮市にゆかりの洋画家小島俊男さん(1935~2018年)の作品を紹介する特集展示が市博物館で開かれている。小島さんと同じく県立芸術大で洋画を教えた作家5人の作品9点を集めた。作家らが引き出す油彩の豊かな表情を楽しめる。4月14日まで。
小島さんは父方の実家が現在の一宮市島村にあった。東京芸術大で学び、欧州で研さんを積んだのち、県芸大で長く教壇に立った。
小島さんの「月のまどろみ」は白く細い三日月が浮かぶ漆黒の空の下、寝台で眠る女性を描いた。透き通ったレースの繊細さや異国情緒漂う神秘的な画面が広がる。確かな描写力で描く写実的な風景の中に、幻想性を感じさせる作風が魅力だ。他にも広大な山々から旅人を見守る母の面影がある「母に見送られて」など全4点をそろえた。
同じく県芸大で教壇に立った笠井誠一さんの「ワインボトルとミルク缶のある静物」は輪郭のはっきりしたマットな筆致が特徴。鬼頭鍋三郎さんの「湖畔(琵琶湖)」は素早いタッチが見どころで、作家ごとに異なる洋画の技法を見比べることができる。
担当者は「愛知の洋画を率いた画家たち。油彩画の持つ多彩な質感を楽しんで」と話した。 (児島恵美)