カフカの新しい人物像
2008年3月17日
旧市街広場のすぐ近くにあるカフカの生まれた家には、胸像が掲げられ、その前の広場は「フランツ・カフカ広場」と名付けられています。
カフカは目覚めてみると毒虫になっていたり(『変身』)、心当たりのない罪で逮捕されたり(『審判』)、独特の不条理な世界を紡ぎ出しました。しかし、生前、その作品を発表することはほとんどなく、さらに死を前にして作品を廃棄するように願ったといわれています。
その作品内容からカフカは暗い性格だったのではとのイメージがついてまわりますが、チェコにおける最近の研究ではむしろ逆だったのではないかとの意見もあります。流行の最先端を追いかける、おしゃれな若者というカフカの新しい人物像が浮き上がっているのです。
カフカが生きた時代のプラハは、ヨーロッパの街でも経済的に豊かな街として、活気がありました。そんなプラハに生きるカフカに都会的なセンスがあったとしても、なんの不思議もありません。
(写真は旧市街広場。広場周辺にはカフカの生家や、父が店を営んでいた建物などの関係施設があります)
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
ここ3回の記事で、
カフカのイメージが、まったく変わってしまいました。
黄金小路のカフカが借りていたという家も、いい雰囲気ですね。
屋根は、瓦屋根なのですか? 雨樋もついていますね。
チャンス | 2008年3月23日 15:05
カフカは生前作品をほとんど発表せず、その公表を望んでいませんでした。また、ナチスによるユダヤ人迫害や、共産体制など、その後、プラハに生まれ育った一人の作家を襲った運命も重なり、その実像は不透明になっていきました。
黄金小路の雰囲気はほんとうにいいと思います。とくに朝方はおすすめです。
増田幸弘 | 2008年3月23日 21:17