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モスクワ 歌は世につれ なれど

2009年06月09日

 今年5月、モスクワで開催される欧州最大の音楽コンテスト「ユーロビジョン」が話題だ。

 グルジア代表グループの曲の歌詞がロシアのプーチン首相批判に取れるとして出場辞退に追い込まれたのに加え、新たに注目を集めたのがロシア代表のウクライナ人の女性歌手だ。

 先日の選考会で代表に決まったのだが、女性歌手の曲にウクライナ語が含まれていたため、ある音楽プロデューサーが「国を愛するロシア人として認められない」と注文を付けた。

 このプロデューサーは、選考会で2位だったロシア人歌手の夫。額面通りには受け取れないものの発言の背景には「愛国心」を良しとする社会のムードがある。

 ロシアの政権は経済危機など問題が起きると愛国心をあおるのが常とはいえ、その影響が文化にまで及ぶのは、いかがなものか。

 代表歌手のことはよく知らなかったが、新曲のCDを買いに近くの店へ走った。

 (酒井和人)